たけしの忙中閑話

歌は世につれ世は歌につれ

別に何かを書こう、などとは思っていないのだが、たまさか時間ができたので思いつくままキーボードを叩いている。こういう時のBGMはなんと言ってもバッハがいい。http://www.youtube.com/watch?v=FQTHjO7H49U
クラッシックもバロック以降はどうしても技巧が多くなるような気がする。素人が言うのもなんだが、さしづめバッハは「基本」であり「原型」であろうか。無理な虚飾がないから聴いていて気にならない。聴く者の心が自在に変化することを妨げない。だから好きだ。

今日も会合の帰りに「名盤シリーズ」と銘打たれたものの中からバッハを三枚買ってきて聴いている。家内に見つかると、「また買ってきたのね」と叱られそうなので、積んであるCDの中にわからないように紛れ込ませてある。「どれも同じように聞こえるじゃない」と言われればそのとおりなのだが、それが気に入っているのだからして、こっちにしてみると「同じ」ようであればあるほどいい。で、「同じ」ように聞こえるからして、結果として家内は気づかない(笑)。

最初に聞いたのは、シュタルケルの「無伴奏チェロ組曲」。これもどこかに書いたような気がするが、著名なチェリストなら誰でもが一度は録音すると言う名曲だ。名曲と言っても、カザルスという大御所が発見して弾いてみるまではほとんど注目されなかった楽曲らしい。http://www.youtube.com/watch?v=yO7Do1Q9rvY 何人かの人のを聞き比べてみたが、自分はやっぱりシュタルケルのが秀逸だと思う。「第1番ト長調BMV1007」の最初のフレーズが奏で始められるとスーっと気持ちが楽になっていく。だから心を鎮めたい時にはいつもこの曲を聴いている。

音楽というものは実に不思議なものだ。クラッシックを聴き出すとしばらくはそればかりになるが、何かの拍子にジャズの名曲を聴くと今度はジャズばかり聴くことになる。http://www.youtube.com/watch?v=io1o1Hwpo8Y ふとした思いつきで久しぶりに大好きなストーンズやエアロスミスの曲を聴くと、「今までなんであんな静かな曲ばかり聴いていたのだろう」などと思って、当分の間は再び大音量を響かせることになる。心のバイオリズムが自然にそういう選択をさせるのだろう。

そういうわけで宿舎にも議員会館にもいろんなジャンルの音楽CDを置いている。原稿を書くとき、本を読むときはその時の気分に合わせて何かの音を鳴らしている。最近はクラッシックが増えてきたが、もともとはリズム&ブルースが好きだ。ストーンズやクラプトンhttp://www.youtube.com/watch?v=Hd9aXoW2IVAが好きなのは彼らの音楽の源流がそこにあるからだろう。ここ数年、ブルースハープという10個しか穴のない小さなハーモニカをおもちゃにして遊んでいるのは、強く吸って音を下げるベント奏法から生まれるあのブルージーな音がいたく気に入っているからだ。

「演歌」も「流行歌」も決して嫌いではない。どうもあまり自分の声に合わないような気がするので、進んで歌ったりしないだけだ。名曲は聴けば聴くほどにやはり引き込まれる。こちらのほうはむしろ「言葉」の力だろう。作詞家というのは実に偉いものだと思う。なぜにこれほど短い詩の中に一篇の人生を謳いあげることができるのか。「悲しい酒」なんていう曲を聴いているとほんとに泣けてくるではないか。だから、BGMには向いていない。言葉の力で心が揺さぶられるからだ。

最近はユーチューブ(YouTube)というサイトで好きな音楽をあれこれ聴けるから有り難い。たいていの曲はここから引き出すことができる。著作権がどうなっているのか気にならないわけではないが、商用にしない限りは問題ないのだろう。ちなみに最近聴いた曲で一番気に入ったのはこの歌。http://www.youtube.com/watch?v=pdsce21rUSc自分がたしか小学生の頃に流行った園マリさんのヒット曲を桑田佳祐氏がカヴァーしている。なんということはない恋の歌なのだが、「園マリは色っぽい」などと言いながらこの歌を口ずさんでいた親父のことを思い出したりして妙に心に残った。同じ楽曲が違う人にカヴァーされてまた新しい命を得るといった風情もまたおもしろい。

どこの国とて音楽の無い国はない。いつの時代とて音楽が途絶えた時代もない。「歌は世につれ世は歌につれ」とはよく言ったものだ。たまに同世代の仲間とカラオケに興じることあるが、なんと言っても楽しいのは、青春時代に流行った曲を一堂で大合唱することだ。イントロがかかっただけでほぼ全員が反応し、歌詞を見ないでもすぐに歌えてしまうところがおもしろおかしくてたまらない。拓郎の歌などはやっぱり僕らになにがしかの影響を与えずにはおかなかった。つくづくそう思う。http://www.youtube.com/watch?v=XnBoha90koM

ここのところ移動中に最も好んで聴いているのはロッド・スチュアートが歌うアメリカの古き良き時代のポピュラーソングだ。黄金期のアメリカの歌はなにしろ明るいのがいい。ロック界のスーパーヴォーカリストだったロッドはこの一連のシリーズでグラミー賞を取った。シャウトでしわがれた声は、スローバラードにもよく似合う。http://www.youtube.com/watch?v=Wi2g9UmB1kU

そんなわけでダラダラとここまで書いてきたが、次の用事の時間がきたのでそろそろ終わりにする。暇つぶしの音楽談義につきあってくれて有り難う。一年を通じてほんの僅かしか休みのない暮らしの中で、実のところ僕は本当に音楽に慰められ、時に力を与えられてきた。これからもきっとそうだろう。家内には「死んだ時はバッハの無伴奏チェロをかけてくれ」と言ってある。人はなぜ音楽に引きつけられるのか。音楽はなぜに人の心を揺さぶるのか。よくわかりもしないし、わからなくてもいい。ただ、ずっと「友達」でありたい。http://www.youtube.com/watch?v=tWQUp5BI2Ec&feature=fvsr
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