たけしの忙中閑話

ヒートテック

最初から商品名を出すのもなんだか気が引けるものがあるが、この製品名は既に普通名詞と言っていいほどに人口に膾炙しているのだからして、まぁ、よしとしてもらいたい。で。実を言うと最近、ずっとこれに世話になっている。昔、祖父や父のらくだのモモヒキ姿を見て「将来、あんなものだけは絶対にはくまい!」と固く決意していたのだが、最近になってその決意がもろくも崩れ去ったのである。

言い訳に聞こえるかも知らんが、最近のやつはその頃のものとはまったく別物だ。そうだ。一緒に扱って欲しくない! むしろ、これは「タイツ」と言ったほうがよい。薄い。伸びる。ストレッチが入っておる。通気性もよく汗もすぐ乾く。見栄えもよい。自分がはいている姿を鏡に映すとあたかもバレリーナのようで惚れ惚れ・・・まではしないが。。。

もちろん、以前も何度か同様のものをはいてみたことはあった。特に正月の消防団の「出初式」の際には、必ずはいていったものだ。なにしろ、この行事は正月早々、寒風吹きすさぶ中でおこなわれることが多いからだ。団員はまだ動きまわるから少しはあったまろうが、来賓席にじっと座っているだけだと、ほどなく身体の芯まで冷え切ることになる。その頃はそれを避けるためのやむをえずの措置だった。が、しかし、ついにこの冬からは「常用」することになったのだ。

人間は弱い。なんにせよ、一度、味をしめるとやめられなくなる。この頃はもうヒートテックをはいていないと寒くて仕方がない。ううむ。。これも「加齢」のなせるわざか。かつてのような「薄着」に耐えられなくなってきている。薄手のコートだけを颯爽とはおってスタスタと歩くいう真似ができなくなった。ほとんど休みの無い日程だからして風邪もひきたくないからして、余計に用心深くなり、最近は厚手のコートにマフラー、手袋まで携えて出かけることが多くなった。そして、ズボン下にはヒートテック。これが「must」である。

もうひとつ言い訳を言おう。小生、「腰痛」が持病である。数年前に手術を受け、すこぶる調子はよくなったのだったが、疲れがたまった時やあまりに寒い時には筋肉が硬直して途端に具合いが悪くなっていたのだ。腰痛の大半の原因は「骨」の不具合というよりも、むしろ「筋肉」の緊張にあるという説を何かで読んだことがあり、それから毎夜、風呂上がりにストレッチを始めたのだが、これが効果覿面で、以来、常に足腰を温め、筋肉をほぐすことを心がけている。つまりは、ヒートテック常用は腰痛防止でもあるのである。そうなのです。

それにしても、「ユニクロ」さんの戦略たるや、実にたいしたものだ。あの「フリース」も今や冬の定番となった。この「ヒートテック」も日本中はおろか今や世界中に普及しつつある。実際、「家着」はほとんどユニクロ製だけで間に合う。年々、製品の質も向上し、デザインもよくなっているから、見栄を張らなければ外出着としても十分に役をなす。一家に一着も同社の製品がないという家はないのではないか。その企画力、構想力、宣伝力、販売力には素直に敬意を表せざるをえない。

そう言えば「ユニクロが国を滅ぼす」といった類の本もあったっけ。同社の製品の大半が国外で生産され、国内に雇用を提供していないことや、安価な製品の大量導入が同種の製品の値段をどんどん引き下げてしまい、結果として「デフレ」を加速させているという趣旨だったと理解している。

たしかにそういうこともあろう。しかし、グローバルな時代とはそういうものだ。アメリカに本社を置く各種メーカーも国内ですべての製造をおこなっている会社などほとんどあるまい。車にしてしかり、電化製品にしてしかり。世界を相手に戦略を描く企業は当然のごとく機能全体をグローバルに分散し、展開している。やがては農産物の一部とてそういう時代を迎えるであろう。

なにもヒートテックに世話になっているばかりにユニクロを擁護してるわけではないのですよ。「より良いものをより安く」はどこでもいつの時代でも商売の鉄則だ。考えてみれば、日本発の企業が「洋装品」という分野で世界戦略を持って展開しているというのは実に頼もしく心強いことではないか。日本人の持つ繊細で優美で丁寧な感覚を持ってすれば、どの分野においても同様のことが成し遂げられるに違いない。そう強く思うのだ。

少子高齢化が進む国内市場はどうしたってこれから縮小していかざるをえない。一方で日本の外側には急速に経済を成長させ、人口を急増させている国々が存在している。そこへ向かって羽ばたいていかなければ、日本企業のこれ以上の発展は望めまい。これから先は地方の中小企業とて、世界を睨んだ戦略を立てる時代がやってくる。ヒートテックに足を通すたびにそんなことをふと考えるこの頃であります。

皆さんもぜひお試しあれ。
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