岩屋たけしのメッセージ

平成29年01月05日
「年頭所感」

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明けましておめでとうございます。皆様には健やかに平成29年の初春をお迎えになられたことと存じます。旧年中に賜りましたご厚情に心より感謝申し上げますとともに、本年も変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げる次第です。

【熊本・大分地震からの完全復興を目指してまいります】

昨年は全国各地で災害が続いた一年でした。特に昨春の熊本・大分地震においては両県を中心に九州各地が大きな被害を被っただけでなく、とりわけその後の風評被害によって九州観光、熊本・大分観光が危機的な状況に陥りました。

幸い、迅速に決定された「九州旅行復興割引」や「九州高速道路割引」などの措置によって、夏には観光客数が例年並みにまで回復し、その後にも続いた対策によって旅館ホテルや観光施設もようやく安堵して新しい年を迎えることができたのでした。災害への迅速な対応が重要であることをあらためて痛感したような次第でした。

今年はまず何よりも災害のない、無事で平穏な一年であることを心から願いたいと思います。そして、引き続き、震災からの完全復興へ向けての対策の充実に全力を尽くしてまいります。

【参議院選挙でのご支援に厚くお礼申し上げます】

昨年夏には参議院通常選挙がおこなわれました。ここ大分県では民進党の現職に対し、自民党が新人を立てて臨みましたが、僅差での敗退となり、ご支援をいただいた皆様に誠に申し訳ない結果となりました。あらためて、御礼とお詫びを申し上げます。「野党共闘の力を決して侮ってはならない」ということを思い知らされた選挙戦でもありました。次なる衆議院選へ向けて一層、気を引き締めてまいりたいと思います。

【自由貿易体制の発展に努力してまいります】

昨年後半の臨時国会ではいくつかの重要法案が成立を見ました。まずは、TPP関連法案です。審議の最中に大臣等の不注意な発言が相次いだばかりでなく、会期中におこなわれた米国の大統領選挙でTPPに否定的なトランプ氏が当選したことで先行きが案じられましたが、政府与党の強固な決心のもとに何とか成立にこぎ着けることができました。

トランプ大統領予定者はその後の発言で、「大統領就任初日にTPPからの離脱を宣言する」と述べました。それがゆえに、「発効の見込みのない条約になぜそれほどまでにこだわるのか」との批判や疑問が寄せられたことも事実です。しかし、日米が中心となってアジア太平洋に高いレベルの自由貿易ルールを作ることの戦略的重要性は、米国にどのような政権が誕生しようとも変わるものではないと考えます。それは我が国においてもしかりです。

トランプ氏が「米国第一」を掲げるのであればなおさらのことでしょう。「保護主義」や「孤立主義」の下で米国経済を発展させることなど不可能だと言わなければなりません。ましてや、仮に現行の国際ルールすら順守できていない国が主導する貿易ルールがアジア太平洋地域全体を席巻するようなことにでもなれば、米国の利益はもとより、我が国の国益も大きく損なわれていくことになります。

ほどなく誕生するトランプ政権を、「軌道修正」、いや、「軌道回帰」へ向けて説得していくためにも、先の国会での法案成立は極めて重要な意味を持っているのだと思います。TPP交渉での成果をもとに、引き続き、自由貿易体制の一層の充実発展に努力してまいります。

【年金制度、社会保障制度の一層の安定化をはかってまいります】

そして、次には「年金改革法」です。一部の野党からはさかんに「年金カット法案だ」との攻撃を受けましたが、法案の目的は「将来世代の年金カット防止」にこそありました。目下、安倍政権はデフレからの脱却を目指し、賃金の上昇へ向けて最大限の努力をおこなってきていますが、仮に万が一、賃金が低下した場合には年金支給額を調整させていただくという仕組みを盛り込んだのでした。

言うまでもなく、年金は世代間の助け合いの仕組みです。しかし、少子高齢化の影響を受けて、次世代の負担が年々増してきていることも事実です。年金支給額の調整に際し、「物価」のみならず、「賃金」を基準に取り入れることで、これ以上、世代間の不公平が拡大しないようにしようというのが改正の目的でありました。その上で、引き続き、緩やかな物価の上昇と賃金の上昇を目指して経済政策を果敢に実行に移していくことで、年金制度全体を安定させていくことこそが重要であることは論を待ちません。

一方で、今回、「無年金者救済法」も同時に成立をいたしました。年金受給に必要な加入期間を25年から10年に短縮する措置を取ったことで、新たに64万人の方が受給資格を得ることになりました。今後とも年金制度、社会保障制度の安定化と充実に努力してまいります。

【IR実施法の策定へ向けて責任を果たしてまいります】

そして、最終最後までもつれたのが、私自身も提出者のひとりであった「IR法案(複合型観光施設の整備の推進に関する法律案)」でした。この法案の目的は、あくまでも我が国の「観光立国化」にあり、観光産業の成熟と発展によって、少子高齢化を乗り越えて、国と地方の成長をはかっていくことにあります。

それがために、会議場や展示場の機能を備えた統合型観光施設(IR)の一部に高い収益力とエンターテイメント性を有する「カジノ」というゲーミングを厳格な規制のもとに限定的に認めようとするものであって、全国あまねくにカジノ施設を単体で設置することを認めるものではありません。

しかしながら、審議には難航を極めました。苦心惨憺の末に最終日の午前一時半にようやく成立を見たのでしたが、マスコミから「カジノ解禁法案」と呼称されたこともあって、いまだに国民の皆様の十分なご理解を得るには至っていないことも事実だと認識しています。

しかし、成立した法律はいわゆる「プログラム法(推進法)」であって、この法律によってカジノが合法化されたわけではありません。これから政府が一年以内を目途に策定する「IR実施法案」が再び国会で審議され、成立した段階で初めてIRの実現へ向けての取り組みが正式にスタートすることになります。

国会での審議を通じて付された付帯決議の方向性や、参議院段階での法案修正で明記された「包括的なギャンブル依存症対策」などの趣旨に沿って、適切に実施法案が策定されるよう、政府に対してしっかり意見を述べていくと同時に、これまで以上に丁寧に国民に対する説明責任を果たしていく所存です。そして、必ずや我が国におけるIRを成功させ、それを起爆剤に日本を世界に冠たる「観光立国」に作り上げていく決意を新たにしています。

【激動する世界情勢の中で日本の平和と安全を確保してまいります】

本年の国政にもまた多くの難題が待ち受けていますが、中でも最重要の課題が、「外交」であり、「安全保障」だと思います。

来る1月20日はいよいよトランプ氏が米国大統領に就任します。今年は、好むと好まざるとにかかわらず、世界中の国々と地域がそのトランプ政権の動向を注視しながら外交戦略を組み立てていくことになる年になるでしょう。同盟国である我が国にあっては言わずもがなのこととなります。

既に安倍総理は世界の首脳に先立ってトランプ氏との会談を済ませています。それを「拙速だ」と揶揄する声もありましたが、同盟国の次期大統領といち早く人間関係を構築しようとしたことは適切な判断だったと思います。その上で、安倍総理は退任を間近に控えたオバマ大統領とともにハワイの真珠湾を訪問し、先の大戦での犠牲者に哀悼の意を表したと同時に、日米の真の「和解」を世界に向かって強く印象付けました。このことは、来るトランプ政権に対しても重要なメッセージになったものと思います。

国際政治の力学が大きく変わりつつある今だからこそ、新しいルールを形成していくことのできる中核となる力が必要です。アジア太平洋においては「日米同盟」が今後ともその役割を果たしていかなければなりません。これまでのように「受け身」に回るのではなく、我が国が積極果敢、かつ戦略的に行動していくことによって、地域全体の安定と平和に資していくことのできる秩序を作り上げていくとの決意が必要です。

ロシアとの交渉は、その国柄からして、決して一筋縄でいくものではないと考えます。先の日露首脳会談については様々な評価がありますが、外交関係は何よりもまず人間関係です。我が国の目標を達成していくためには、そのための綿密な環境整備が必要であり、これまでの安倍総理とプーチン大統領との濃密な人間関係をさらに深化させていくことが、結果として目的の成就につながっていくものと思います。ここは焦ることなく、一歩ずつ前進をはかっていくべきでしょう。

中国では習近平体制の強化が益々進んできており、当面、東シナ海においても南シナ海においても、なんら譲歩の兆候は見られません。当面はトランプ政権との緊張を孕んだ駆け引きが続いていくことになるでしょう。重要なプレイヤーになるはずの韓国はここしばらくは当事者能力を欠いた状態にならざるを得ません。北朝鮮はその状況を注視しながら、引き続き「瀬戸際外交」を続けてくるもの思われます。さらには、世界全体にテロの脅威が拡散しています。

このような状況の中で、我が国の安全を確保していくためには、これまで以上の外交努力によって関係諸国との信頼醸成に努力する一方で、防衛力整備を適切かつ着実に進め、「平和安全法」によって新たに認めた権能を担保するための訓練に精励し、「抑止力」を一層、向上させていくことが必要です。安倍政権が着手した「安全保障体制の再構築」の作業に一貫して関わってきた者の一人として、引き続き、全力を尽くしてまいりたいと思います。

【イノベーションを促進し、「働き方改革」を進めてまいります】

国内での最大の課題は、言うまでもなく「経済」です。アベノミクスは確かにそれまでの日本経済の将来に対する悲観論を払しょくすることに成功し、「デフレ脱却」ヘ向けて着実に歩を進めることができてきたと思います。しかし、所詮、「金融政策」と「財政政策」だけでは限界があります。今後は「成長戦略」こそが重要です。

経済成長を牽引する最大の要因は「イノベーション」であり、そのために政府も企業も最大限の努力を続けていますが、一方で、それを相殺して上回るような勢いで人口減少と少子高齢化が進んでいるのが我が国の現状です。だからこそ、「消費」も「投資」も思ったようには伸びていません。

ロボットであれ、AI(人口知能)であれ、自動運転であれ、ipsであれ、ナノ技術であれ、我が国が世界の最先端の技術を獲得していくためのイノベーションを促すべく、政府が最大限の環境整備と支援をおこなっていくべきことは当然です。しかし、それと同時に人口減少、労働人口減少を補い、生産性を向上させていくための「働き方改革」が必要です。

女性や高齢者の社会参加、障がい者の社会参加を促進し、その待遇を改善させていくための施策を一層、充実させていかなければなりません。加えて、人々の消費の対象が「モノ」から「コト」へとシフトしつつある中、「観光業」や「エンターテイメント産業」といった、これまでともすれば「つけたし」のように考えられてきた産業を成熟させ、成長させることによって、そこに若者の新たな雇用の場を創出していくことが必要であると考えます。

安倍政権はこれまで、「ベア交渉の後押し」や「最低賃金の引き上げ」、さらには「配偶者控除の見直し」など、これまでの保守政権では考えられなかったような課題に果敢に取り組んできました。それに加えて、今後は「同一労働・同一賃金」といった課題にも取り組もうとしています。それは、「格差の解消」といったテーマをさらに超えて、すべての日本国民の持てる力を最大限に発揮してもらうための改革、すなわち、「一億総活躍」社会を作っていこうとする取り組みでもあります。これらの取り組みをさらに充実させていきたいと思います。

【「ご退位問題」については、注意深く丁寧な合意形成努力が必要です】

昨年の天皇陛下の「お気持ちの表明」を多くの国民の皆さんが重たく受けとめられたことと思います。そのお気持ちに沿って差し上げたいという思いは誰とて同じですが、事は我が国の根幹に関わる問題でもあります。それだけに、ここは拙速を避け、慎重の上にも慎重に、丁寧の上にも丁寧に、深く、そして幅広い考察の末に、正しく方向性を見出していかねばならないものと考えます。

目下、有識者会議において議論が続けられていますが、その方向性がある程度見えてきた段階で、できるだけ早期に各党の代表者からなる合議体を設け、そこにおいて静かに丁寧に合意形成をはかり、最終的には全会一致のもとで必要な立法や法改正がなされることが望ましいと考えます。

仮にこの問題で国論が大きく分裂するようなことになれば、それこそが天皇制の安定性を大きく損ね、我が国の将来をゆるがすことにもなりかねません。国民一人一人がそのことに思いを致す必要があると考えています。

【憲法改正については真摯に丁寧に合意を探っていくべきです】

現行憲法が制定されてから70年が経過しました。この憲法の下で、我が国は、いまなお不十分ながらも、着実に民主主義国家としての成熟を遂げてくることができてきたと思っていますし、その思いは多くの国民の皆さんに共有されていると考えます。したがって、この憲法の制定過程に拘泥する、いわゆる「押しつけ憲法論」には私は与しません。それは、およそ建設的でも意義あることでもないと思っているからです。

しかし、「最高法規」と言えども「法規」には違いありません。70年の歳月を経て世界が大きく様変わりし、社会の状況も大きく変貌している中にあって、未来永劫、一字一句変えてはならないということでもないでしょう。改正の必要があるということであるならば、国権の最高機関たる国会が、最高法規に正面から向き合うことはあってしかるべきだと考えています。

憲法は基本的に「権力を縛る」ものではありますが、国民の利益や大きな公益を守るため、あるいは達成するために、「権力に権能を付している」ものでもあります。最高法規に定めることによって新たに擁護すべき人権があるのではないか、改正によって権力に新たな権能を与えることによって守護すべき公益があるのではないか、、そういったことを「白紙」にかえって真摯に議論してみる必要があると思っています。まずは各党間において予断を持たずして自由闊達に意見を交わしてみるべきでしょう。

いずれにせよ、最終的に判断されるのは、主権者たる国民の皆さんです。国会は改正を「提起」できるに過ぎず、その可否は国民投票に委ねられます。その経験は必ずや我が国の民主主義を成熟させ発展させることにつながっていくと信じつつ、真摯にこの議論に参画してまいりたいと存じます。

【「合区」解消に全力を尽くします】

私は現在、衆議院の倫理選挙特別委員会の与党筆頭理事をつとめています。今年は本委員会に衆議院の「定数削減」ならびに「定数是正」のための法案が提出される予定です。衆議院議員定数を10削減し、「一票の格差」を是正するためのものですが、議員の数が減る県が6県、そして、「区割り変更」などの影響を受ける選挙区が100近くに及ぶことが予想されることから、審議はもとより、成立後の調整が相当に難航することになるだろうと思います。

「一票の格差」の問題は、まさに「憲法問題」でもあるのですが、幾度となく「違憲状態にある」との司法判断をつきつけられている以上、立法府としてその状態を解消すべく努力すべきことは当然だと考えます。しかしながら、昨年の参議院選挙の際に「緊急措置」として取られた「合区」については、なんとしてもこれを解消する努力をすべきではないかと思っています。

昨年の参議院選挙では「高知県と徳島県」、そして、「島根県と鳥取県」において合区がなされました。地方自治の基本的な枠組みである、したがって、住民の意思決定の基本的な枠組みでもある「県」から国会に代表を送れない、という状況が出現してしまったことは極めて異常なことであり、早期に解消が必要だと私は考えます。現状を放置すれば、「合区」はますます進んでいくことになります。そうなれば、「統治のシステム」が大きく揺らいでいくことになるわけで、「合区」という方法が国民の利益に適うとは到底、思えません。

この問題を解決するためにいかなる方法が最も適切か。それを議論するためのPTが現在、自民党の中に設けられており、私は党の選挙制度調査会長代理としてその議論に参加しています。党内外の叡智を結集し、できるだけ早期に解決策を見出していきたいと思っています。

【30年の節目を経て、心機一転、努力精進してまいります】

以上、昨年の活動をふりかえりつつ、今年の諸課題に臨む所見を申し述べてまいりました。それぞれ、極めて困難な課題ばかりですが、全力を尽くし、ひとつひとつ成果を挙げてまいりたいと存じます。

昨年は政治活動をスタートして30年の節目の年でもありました。また、今年はいよいよ「還暦」を迎えることになり、人生の大きな節目の年でもあると思っています。「60歳にして59年の非を知る」との思いで、心機一転、努力精進してまいる決意です。何卒、旧に倍しますご指導とご鞭撻を重ねてよろしくお願い申し上げます。

結びに、本年一年の皆さまのご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げ、新年に当たっての所感とさせていただきます。

平成29年1月5日  
衆議院議員 岩屋 毅