岩屋たけしのメッセージ

平成21年10月08日
「新政権は唯我独尊に陥るべからず。」

日本列島を大型の台風が襲う気配です。最悪の場合は列島をなめるように縦断する可能性もあり、十分な備えが必要です。皆さんもくれぐれもご用心ください。

さて、新政権は補正予算の削減によってマニフェストを実現するための財源作りに余念がないようです。それはそれで新政権の方針ですから、おやりになればよいと思いますが、気になるのはすべてを「無駄」という一言で片づけていっている乱暴さです。

先に麻生政権が作った補正予算は基本的に景気対策や雇用対策のための総合経済対策予算です。中に一定割合の公共事業が含まれていますが、その目的は「将来において作ると決めているものは、前倒して発注することによって景気を刺激しよう」というものです。

そのほか、農地の集約化を推進するための予算(高齢農家などで耕作不能となっている農地を貸し出してもらうための補助)や、滞っている森林の間伐を自己負担なく行なっていただくための予算、あるいは長期失業者のための支援事業のための予算などが、バサバサと切り捨てられていますが、こういった処置が「景気」や「経済」や「地方」にどういう悪影響を及ぼすことになるのか、甚だ懸念されるところです。

それでなくとも、ここのところの経済閣僚の一連の発言で「株安、円高」という傾向に拍車がかかっています。そこへ今回の「経済対策予算の大幅削減」という要素が加わりますと、一度上向きかかった日本経済が一気に二番底に向かってしまうのではないかと心配されます。千石行革担当相の「今回の措置は景気に中立だ」という発言は到底、実態を正確に把握しているものとは思えません。

それもこれも「マニフェスト至上主義」がもたらしているものなのでしょう。たしかに「マニフェスト」は国民との約束であり、できるかぎり忠実に実行されるべきものだと思います。しかし、「百年に一度の危機との戦い」はいまなお、相当に深刻なレベルにおいて続いているのです。そのことに対する配慮を欠いた政策は、結果として国民生活をさらに追い詰めることになる恐れがあると危惧しています。

民主党のマニフェストを実現するためには、初年度において7兆1000億円あまりの予算が必要だと聞いています。今回は我々の作った補正予算の中からなんとか3兆円近くを捻り出すとのことですが、翌年度はさらにその倍近くの予算を本体予算の中から捻出しなければならなくなります。しかも、「子育て手当て」も「農家の所得補償」も緊急対策ではなく、恒久対策です。果たしてそのようなことが可能なのか。

私はいたずらに新政権の政策を非難しようというのではありません。むしろ、大臣や副大臣などの主要ポストにつかれた方々は、従来の政権に比べれば格段と指導力を発揮して存在感を示しており、ある意味、頼もしいとすら思っているところです。しかし、「マニフェスト」に固執するあまりに、現状認識や将来の見通しを誤って「唯我独尊」といった状態にならないでいてもらいたいと願っているのです。

臨時国会は10月26日に召集される予定です。そこから本格的に与野党の論戦がスタートするわけですが、今日申し上げたような景気経済の問題はもちろん、外交、防衛の基本政策について、あるいは、地球環境問題や社会保障制度改革について、本会議はもとより、各員会での議論を通じてしっかりと質していきたいと思っているところです。

(※10月7日配信のメールマガジンより)