岩屋たけしのメッセージ

平成28年09月05日
「イギリス視察での収穫」

023985.jpg

明朝、イギリスを離れ、ドイツへと向かいます。イギリス視察での最大の収穫は、この国では、情報機関に対する信頼を確保するために、政府も議会も情報機関そのものも、「国民を守る」という共通の目的のために、お互いに緊張感を保ちつつ適切に連携していくための努力が不断に積ねられているということがよく理解できたことです。

明日からのドイツ訪問では、おそらくまた違った話が聞けることでしょう。なぜならば、ナチの時代に始まり、東ドイツの時代を経て今日に至っている当国のインテリジェンス機関に対しては、同国民はおそらく極めて複雑かつ特別な感情を抱いているのではないかと予想されるからです。

私はかねてより我が国にも対外情報の収集分析に特化した機関を創設すべきだと考えてきました。しかし、戦前戦中の経験からして、国民の間には、いまなおその種の情報機関の活動に対する少なからぬ懸念と心配があるに違いありません。しかし、だからこそ、国民代表としての国会が、これら情報機関をしっかり監視・監督する機能を有していることが必要なのだとあらためて感じています。

我が国の情報監視審査会は生まれたばかりであり、現在の任務は特定秘密の指定と解除の是非を審査するだけにとどまっています。しかし、仮に本格的な対外情報機関を設置するとなれば、その活動が適法かつ適正に行なわれているかどうかを厳しく審査する強い権能を国会が持つ必要があると思っています。そうでなけれは、インテリジェンスの制度全体に対する国民の信頼を得ることは到底、困難だからです。

最後に訪問する米国ではまた違った世界が広がっていることでしょう。同国の情報機関は今日の世界で最も強力な体制と権能を有しており、その強大な権能が米国のみならず世界の平和と安定に資している一方で、使い方を誤れば国民の権利のみならず、世界市民の人権を侵害する恐れがないわけではないからです。

今回の視察の主目的は「治安・安全保障上の情報収集ならびにその保全の必要性」と、「国民の知る権利あるいは知られない権利の保護の重要性」を、民主主義社会においてどのようにバランスさせるべきかということを、これら各国の制度を比較することによって考察することにあります。視察を通じ、将来の我が国にふさわしい姿を模索していきたいと思っているところです。